授業づくりJAPANの「日本人を育てる授業」

わたしたちは誇りある日本人を育てたい。真の国際派日本人を育てたい。

日露戦争・その後

■安達弘先生の「小学校歴史人物学習 <なってみる日本史>」の紹介を続けます。
「東郷平八郎」は「日清戦争と日露戦争」の授業(全5時間)の5時間目です。
これは安達先生のブログ「授業づくりJAPAN YOKOHAMAプライマリー」から転載しています。

安達先生の授業は文科省推薦のアクティブ・ラーニングの歴史授業版です。
また、B4用紙裏表印刷のプリント(ワークシート)1枚だけで学習できる画期的なスタイルによって、
ユニバーサルデザインを実現した歴史授業としても定評があります。
誰でも成果が出せる授業であり、誰もが意欲的に学習に取り組める授業です。
 

■横浜の小学校6年生の思考力・表現力がみごとです。
 全国の先生方、ぜひ追試してみてください!


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        日露戦争・その後

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・日露戦争の第3時は「その後」として日露戦争の世界史的意義について考えさせる。
 
・授業の冒頭に三笠記念公園内の売店で購入した<東郷ビール>の空き瓶を教室内を一周しながら全員に見せる。
 日露その後1

 すぐにラベルの人物が東郷平八郎であることに気づく子が出てくる。
 そこでワークシートを配布する。


<ワークシート・第1ページ>

下のビールのラベルは1970年にフィンランドのピューニッキ社で発売された「世界の提督シリーズ」の中の一つです。
 このシリーズは世界中の24人の海の英雄たちの顔がラベルになっています。
 ここにあるラベルの絵は、東郷平八郎です。なぜ、24人の中に東郷平八郎が選ばれているのでしょう?


 児童からは以下のような反応が返ってくる。

「大国ロシアに勝ったことで東郷平八郎の名が世界中に知られるようになったから」
「トーゴターンなど予想外の作戦で勝ったから」
「日本の代表みたいな人だから。ヒーローだから」
「世界一の艦隊に勝ったから、その活躍が広まった」
「強運の持ち主だから縁起がいい。ラベルがお守りみたいになるから」


<ワークシート・第2ページ>

日露戦争と世界の人々

①東郷平八郎のビールラベル
 ロシアのバルチック艦隊に完全勝利した日本の東郷平八郎の名は世界中に知れ渡りました。ですから、このようなシリーズにも東郷平八郎が選ばれたのでしょう。
(なお、このビールを作っていたフィンランドの会社はすでになくなっています。しかし、今はオランダのビール会社が日本向けに東郷平八郎のラベルだけを復活させて輸出し「東郷ビール」の名前で親しまれています)

②トルコの「トーゴー」
 トルコでは日本の勝利の後に子どもに「トーゴー」と名前を付ける人がかなりいたと言われています。ハリデ・エディプも息子に「トーゴー」と名付けています。また、地名にも「トーゴー」の名が付いた道ができました。

日露その後2
トルコの東郷通り

③中国人・孫文(そんぶん)とアラビア人
 中国建国の父と言われる孫文は講演の中でこう述べています。

 船の上でアラビア人たちが「あなたは日本人か?」と質問してきたので「わたしは中国人だが、どうしたのですか?」聞くと、「最近、アジアの東にある国がヨーロッパの国と戦って勝ったということを知った。わたしたちアジアの西の国の者も同じアジア人として自分のことのようにうれしいのです」と話していた。日本の勝利は有色人種や大きな国に苦しめられている民族に独立のめざめを与えたと言えるでしょう。

④エジプトで出版された本
 エジプトのムスタファ・カーミルは日露戦争後に『昇る太陽』という本を出版しました。この本の目的は、エジプトがイギリスから独立するためには日本をモデルにして学ぶことにありました。また、サラーマ・ムーサーも自分の本の中で「エジプトの人々は日本に好意的だった」と書いています。

⑤イランの詩人の言葉
 イランの詩人であるシーラーズィーは次のように言っています。
「日本は立憲制を取り入れて偉大な国になった。その結果、あのように強い国にも勝つことができたのだ」



<ワークシート・第3ページ>

日露戦争後の世界の人々の目になって考えてみよう

 ここまで、日露戦争における日本の勝利が世界中に大きな影響を与えたことを見てきました。
 じつは、日露戦争の後、世界の反応はおおよそ下のAとBの2つに分かれました。
┌──────────────────────────────────────┐
│ A:強くなった日本から学ぼうとした。
│ B:強くなった日本を警戒するようになった。
└──────────────────────────────────────┘
 では、下の4つの国はAとBのどちらの反応が強かったでしょうか?どちらかに分類してあなたの意見を書いてみましょう。

   ①アメリカ    ②インド    ③フランス    ④ベトナム

日露その後3
世界地図

 この課題に取り組ませるに当たっては世界地図を用意することが肝要である。
 ここまで出てきた国を世界地図上で確認させる。
 子どもたちはさすがにアメリカの位置はわかるが、フィンランド、トルコ、エジプト、イラン、フランス、インド、ベトナムはほぼわからない。
 確認すると「もう一回教えて」とかなり日本との位置関係が気になる様子である。

 分類の人数分布は以下のようになった。
  
             1組             2組
 アメリカ ・・・A 0人  B 27人   A 4人   B26人
 インド  ・・・A 27人 B 0人    A 28人  B 2人
 フランス ・・・A 9人  B 18人   A 11人  B17人
 ベトナム ・・・A 23人 B 4人    A 21人  B 9人

 大勢の意見は、Aにアジアの小国、Bに西洋の大国を当てはめるものである。

「①と③は西洋だったのでちょっと前までは西洋の方が日本より強いと思われていたため、ロシアに勝った日本が西洋に勝つかもしれないと思ったから。②と④は当時、植民地だったので、支配されていた大国に勝てるかもしれないと勇気をもらった」

「②と④は小さくて植民地にされやすいから強い国に勝った日本に学んだ方がいいと思った。また、大きな国の①やロシアと同じヨーロッパの③は警戒すると思う」


 その他の意見その1としてAに①、Bに②③④と分類した国土の大きさで判断したもの。

「①のアメリカは日本よりでっかいし、日本と仲良くしていた。②のインドはイギリスから日本の植民地にされてしまうかもしれないと
恐れた。③のフランスは日本がいきなり強くなって、国の大きさが同じぐらいだから危ないと思ったかもしれない。④のベトナムは日本より小さいしインドと同じ植民地にされてしまうかもしれないと思ったから」


 その他の意見その2としてAに②と③、Bに①と④と分類した日本との距離で判断したもの。

「アメリカは昔、日本が学んだぐらいだからもう学ぶ必要がない。ベトナムは小さくて日本と近いからこの2つの国は警戒した。インドとフランスは遠くて警戒する必要がないから、学ぶ方がいいと思った」


 その他の意見その3は、アメリカ警戒説である。アメリカのみ警戒のBとして残りは3つともAである。
「アメリカは貿易もたくさんしていて大きい国だから、同じぐらい大きくなった日本を警戒すると思う」



<ワークシート・第4ページ>

日露戦後の日本

日本に学べ

 下のお話は、のちにインドの首相になったインドのネルーが自分の子どもに語って聞かせているものです。
┌──────────────────────────────────────┐
│  アジアの一国である日本の勝利は、アジアのすべての国ぐにに大きな影
│ 響をあたえた。わたしは少年時代、どんなにそれに感激したかを、おまえ
│ によく話したことがあったものだ。たくさんのアジアの少年、少女、そし
│ ておとなが、おなじ感激を経験した。ヨーロッパの一大強国はやぶれた。
│ だとすればアジアは、そのむかし、しばしばそういうことがあったように
│ いまでもヨーロッパを打ち破ることもできるはずだ。
└──────────────────────────────────────┘
 日本の勝利はインドの人たちに「インド独立」という希望を与えました。「インドも日本のように近代化を果たせばイギリスの支配から逃れられる」と考えたのです。

 ベトナム人のファン・ボイ・チャウも「日本の勝利の知らせは長い夜の夢からめざめさせてくれた」と語り、ベトナムの独立を夢見て「日本から学ぼう」と約250名の若者を日本に留学させる運動をおこしました。


日本を警戒せよ

 西洋の国々も、日本の勝利に驚き「日本から学ぶべきだ」という声が起こりました。
 イギリスでは「日本海海戦での日本の勝因は<武士道>にある。日本の精神力に学べ」という新聞記事が載り、アメリカでは「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ」と言う東郷の有名な言葉に感動した大統領のセオドア・ルーズベルトが、これを英語に翻訳して当時のアメリカ軍に配ったりしました。

 しかし、一方でアメリカの新聞には「日本に対抗できる海軍はもうイギリスにしかない」「日本は恐るべき強国となるだろう」「貿易上のライバルになる」という記事が載るようになりました。西洋の国々は強くなった日本を警戒するようになったのです。

 また、フランスの新聞にも「日本はアジアからフランスを追い出す秘密計画があるらしい」「日露戦争でのロシアの敗北はヨーロッパ全体の敗北と同じだ」「日本を止めるために白人全員で一致協力しよう」などといった日本を警戒する記事が掲載されました。


 児童の感想を見てみたい。

*東郷平八郎の日本海海戦の勝利によってアジアの小さな国々に希望と勇気を与えたのだとわかりました。

*日本は最初はものすごく弱く、植民地になりそうで危ない時期もあり、すごく弱かった。でも、植民地にされるどころか、植民地になっている国に希望を与える大きな国になった。僕はすごい進歩だと思う。

*日本はアジアの人たちに希望を与えたので、今のアジアがあるのはそのためだと思います。日本が大国に警戒されるということは日本は成長したんだと思います。

*日本は強くなって危険になったのではないか?白人が全員で攻撃してきたら日本は大丈夫なのか?心配だ。でも、世界の強国に勝った日本は本当にすごい。計画を立て、行う、やる気がすごい、世界一だと思った。

*こんなに世界中が驚いてすごいと思った。東郷さんのおかげ。植民地にされた国にも勇気を与えたから戦争というのも全部が悪いというわけではなかった。

*日本海海戦の大勝利が植民地にされている人々に希望を与えられたのはすごいと思います。日本の強さをわかってもらえるのはよいけれど、恐れられたり誤解されることがないようにしてほしいと思いました。

*日本がアジアにもたらした利益はものすごいものだと思いました。

*日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎が、こんなに有名になっているとは、同じ日本人である僕も感動しました。
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